コロナ禍のバリ

コロナ禍のバリ

もう何度も聞かれた言葉と思いますが、コロナは全てを変えてしまいました。

しかし、バリ島の文化や生活は何一つ変わってない印象があります。
今は、インドネシアでもバリ島は重点的にワクチンを摂取しておりますので、特にワクチン接種後も、全く以前と変わらないガムランの響きが流れております。
また、バリ島では、コロナの死亡者率がこのインドネシアの乏しい貧弱な医療体制の中でも、コロナの死亡者率が低いのが有名で、同じように世界でも低いので有名な日本と同じくらいでした。

そして、コロナ禍の中でも、ガムランの音は少し減りはしたもののほぼ変わらないで毎日聞いておりました。

コロナで、大きく変わったのは、観光業に対する経済的打撃が、皆がさらに経済的には下層に押し込められていくであろうというという現状だけであります。

バリの皆は相変わらず、芸事に勤しんでいますし、今うちの近くの村で行われている近くに州が行う芸術祭のギャニャール県代表としてのガムランと踊りのレベルはすでに神がかったレベルに達しています。
これが、世界にこの手のジャンルのコンテストがあって披露されたら、全く世界一になるであろうというレベルです。
そういう達人ごとは社会に精神的余裕や何かの真髄がないとできないことのように感じております。

高周波の音

もう有名になっていることですが、バリガムランの奏でる音の周波数は、人類と知覚できる周波数の上限である20kHzから2倍以上である40kHz以上で100kHzを超えるものもあります。そしてそれが、脳幹、視床などの能の機関組織を活性化します。また、自律神経系及び免疫系の内分泌系を司っている部位が並行して活性化されるらしいです。
バリ人は、音楽を聴覚で聴いているのではなくて、肌感覚で聴いている(感じている)といいます。
このコロナでの死亡者率が小さいことで、バリ人が生活の中にコロナ禍でもガムラン音楽や踊りをやめずに行ってきたことで、免疫力が高い、それが証明されたみたいです。

そしてこのコロナの中でも、バリ人の中に何か余裕と明るさをいつも見ていました。
家でテレワークする人もほぼいないし、皆結構外に出ていますし、市場はいつも賑わってました。
確かに法事ごとや市場で感染はしても、亡くなることが少ないという事実、死亡者率が少ないのは、バリ人社会の作り上げたこの楽器、文化が、とてもこのような時代にはとても有益な文化、生活態度であると証明された気がします。

バリ音楽の知覚できない高周波は、こういう危機にこそ、共同体の繋がりを強靭なものにしていくようです。そして何か、遠い未来を肌感覚で感じ取り、達観しているような感さえあります。
深いところで理解しているという感覚でしょうか?

次の時代に有益なバリ文化

ワクチンを求めて争うことなど全くなく、経済的に打撃を受けて職場を解雇されてもそれに抗うこともなく、皆同じだからと何も言わず受け入れている対応をしている姿を見てきました。どちらが、従業員か経営者かわからないような、大人の判断です。
かといって、インドネシアの国の経済状況から、政府からの寄付金などはほぼ期待しているわけでもないのですが、皆なんとか、自給自足や助け合いによって、生活しております。
インドネシアは多民族国家なので、バリ島だけに配分することはできず、全部の人民をすべからく助けようと思うと気が遠くなる話ですので、皆自分の分をわきまえて、他の民族のことも考えながら、喧嘩にならないようにバランスとっているのでしょうか。

同じような状況が世界で起こっていますが、世界の方はいかがされてますでしょうか?

ニューヨークから来て、たまたまバリに残ることになった観光客のカップルがいました。今は、ニューヨークはコロナが収まってきてますが、外出禁止になった時期などは、外を歩いているのはアルコールか麻薬中毒者か、泥棒しかいないという地獄絵図とかしていました。
そのカップルは、うちのレストランで2人だけのティーパーティをしながら、自分の友人たちの惨状に比べてここはパラダイスだと涙していたのを覚えております。

世界は、このような感染症は今後も繰り返されるかもしれず、世界は価値観を変えていくと思います。その中でバリが世界に貢献できることがあるような気がします。
バリ島は、経済的には大変な状況にあって、今後もっとひどくなることが予想されますが、
しかし、それで測れない、バリ文化が育む心の豊かさや健康、幸せというものに重点を置く、次の時代に必要なこの文化的先進性をもっと伝えてもいいのかもしれません。

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HiromibaliProducer
ほぼ30年バリ島に滞在しており、日本とバリの往復しています。またその間に海外の聖地を回っています。澄み切って透き通った蒼い色が好きです。